親の介護に訪問介護を選んだ理由とは?体験談とその後の変化


高齢化が進む日本社会で「親の介護」は多くの家庭にとって大きな課題です。直接自宅で介護を続ける方法として「訪問介護」が注目されているものの、漠然とした不安や情報不足から利用への一歩が踏み出せない方も多いでしょう。


この記事では、実際に当事者になった”わたし”の体験を通じて「訪問介護を選んだ理由」と、その利用開始後に感じた変化や気づきをご紹介します。介護に直面した方や検討中の方が、訪問介護のメリットや現実を理解しやすくなることを願っています。


※本文に記載している事例は実際の介護現場の状況を踏まえておりますが、個人情報保護の観点から、具体的なプライベート情報は含まず、複数のケースを総合的にまとめた内容となっております。特定の個人やご家族を特定するものではありません。


親の介護が必要になったきっかけ


数年前、70代後半の父が徐々に体力の低下や認知機能の衰えを見せ始めました。日常生活での自立度が落ち、入浴や排泄の介助が必要になる場面も増えていきました。


当初は家族だけでなんとか支えようとしましたが、介護の負担は想像以上に大きく、物理的にも精神的にも限界を感じるようになりました。仕事との両立、兄弟間での役割分担、そして何より父自身の安心・安定した生活環境をどう維持するかが大きな課題となりました。


訪問介護を選んだ理由


いくつかの介護サービスを検討した中で、我が家が訪問介護を選んだ理由は主に次の3つでした。


1) 自宅で暮らし続けられる安心感


まず第一に本人の「自宅で暮らし続けたい」という強い希望があり、家族としても「本人の住み慣れた環境での生活を尊重したい」という思いがありました。


訪問介護なら家に直接プロの介護者が訪問し、日常生活において必要な支援を受けられます。これにより、住み慣れた環境を保ちつつ、適切なケアを継続できる点は大きな魅力でした。


2) 家族の介護負担軽減と精神的サポート


実際に家族で父をサポートしてみて、仕事や育児もある中、24時間の介護は不可能に近いことに気づきました。


訪問介護を利用することで、父を見守りながら、同時に「(ヘルパーの)定期訪問がある」と思うことで安心感が増し、家庭内での介護疲れや負担感を軽減できる点もひとつの要因となりました。


3) 個別対応の柔軟性と質の高さ


訪問介護は1対1で利用者の状態に合わせてケア計画を作成・調整してくれます。特に父のように認知症の傾向もあるケースでは、柔軟な対応が不可欠です。


施設では複数利用者を同時に対応することも多いため、親のペースや気分に合わせた介護が難しいのではと感じ、訪問介護のきめ細やかさが父にとっても快適なのではないかと感じたため採用を決めました。


訪問介護利用開始後の具体的な体験


利用開始当初は「慣れない介護スタッフの訪問に戸惑うのでは」という心配がありましたが、実際にはメンタル面でも大きなプラスになりました。


毎日の変化


・定期的に訪問するヘルパーができたことで、父の生活のリズムが安定した。


・入浴介助や排泄介助の際の専門的なサポートにより、家族の介護負担が劇的に軽減。


・掃除や洗濯などの生活援助も加わることで居住環境の質が保たれ、父の健康状態も改善傾向に。


・認知症の進行に伴うイライラや混乱も、ヘルパーがその場を柔らかくフォローしてくれることで落ち着いて過ごせる時間が増えた。


家族の変化



  • 仕事と介護の両立が少しずつ可能になったため、精神的な余裕が生まれた。

  • 兄弟や親族間で介護の情報共有や役割分担が活発になり、連帯感が深まった。

  • 訪問介護者から時折助言や最新の介護情報を得られるため、介護スキルの向上にもつながった


利用して気づいた課題や改善点


もちろん、訪問介護も良いことばかりではありません。体験を通じていくつかの課題や改善点も見えてきました。


・利用時間が短い場合、一度に十分なケアが行えないことがあり、追加サービスの検討が必要になった。


・ヘルパーが複数人で交代するため、細かい状況共有や信頼関係の構築には少し時間がかかった。


・急な体調変化等に対し、訪問頻度や連絡体制の見直しが必要になることがあった。


・経済的負担は施設介護より少ないとはいえ、継続的な費用は家計への影響があるため、計画的な資金管理が重要と痛感した。


これらを踏まえ、定期的にケアマネジャーや訪問介護事業所と連携しながら、サービス内容や利用環境の見直しを行いました。


親の介護に訪問介護を選ぶメリットまとめ


わたしたち家族の場合、訪問介護を選んだことで次のようなメリットが得られました。


・生活の質を保ちながら専門的なケアを受けられる


・家族の負担を軽減し、精神的にも守られる環境ができる


・個別対応で本人のペースや希望を尊重できる


・地域の介護ネットワークに繋がり、支援の幅が広がる


特に「住み慣れた家での生活を続けられる安心感」は、本人も家族も共通して強く実感した点でした。


これから訪問介護を検討する方へメッセージ


親の介護に直面したとき、選択肢は多く、悩みや不安も尽きません。


訪問介護は利用開始までの流れや費用面、サービス内容について正しい情報を持つことが重要です。


もし親御さんの「自宅で暮らしたい」という希望があるなら、ぜひ訪問介護の特徴や利用者の声、ケアマネジャーへの相談を検討してみてください。利用することで見えてくる安心感や家族の支え合いの輪は想像以上に大きいものです。


最後に、ご家族だけで抱え込まず、専門機関や介護サービスを活用する勇気を持ってほしいと心から願います。